Automne

モリコーネ 映画が恋した音楽家のAutomneのレビュー・感想・評価

3.7
伝説的映画音楽家モリコーネの人生を彼の作曲した音楽と関わった映画とともに紹介してゆく大河ドキュメンタリー。
ハンス・ジマー、タランティーノ、パゾリーニ、ベルベル、ジュゼッペ・トルナトーレをはじめ、彼を語るメンツの豪華さ。彼の人生を追ってゆくだけで1960年代後半〜2010年代の映画史になるのがまずもってやばい。なのに本人は父に言われてトランペットやりはじめて、それから講師に言われるままに作曲やりはじめたのもやばい。

“対比法”の話とかは、特に現代のミュージック語る上で必須要素とも言えるもので、彼の存在が音楽界全体に与えた影響は計り知れない。カニエのビートの作り方を最近個人的に調べていて、そこで気づいてた構造というものが彼の対比法だったのだと映画で気づいた発見だった。

映像資料としては良いが、映画としてどうかと問われれば、果たして、残念ながらジュゼッペ・トルナトーレはドキュメンタリーの才能はないと言わざるを得ない。
映像はほぼ3パターンで、コメンテーターがひとこと→モリコーネがひとこと→そのまま映画の映像に被せてコメントと音楽が流れる みたいな感じ。
たまにモリコーネ自身が指揮している映像も流れるが、使い回しエグくない?ってくらい画角に乏しく陳腐。インタビューも正面カットのほぼオンリー。
ある意味描かれている情報は映画史と映画音楽史の集積といっても良いくらい重要だし、ゲストもこれ以上ないほど贅沢であるにも関わらず、うまく料理できてないのが非常に惜しい。
たとえるならば、ドキュメンタリーの予告編(コメントの断片)が1分尺でどんどん切り替わってゆくのが157回延々と続く感じ。ずるずるでずっとオープニングだしずっと終わらない印象。ひとつひとつの話のオチがあるようであんまりなかったり、切りどころはめちゃくちゃある。どこから始まって終わってもあんまり印象変わらん。手放しで褒めたりしてるコメント切ったらもっと見やすくなると思うんだけどなあ。長尺でエモーショナルな動線もほぼなくこれ(1分×約160回)やられたらちょっと間違いなく引いちゃう。
内容は良かったんです。作り方がほんまにあかんでした🙅‍♀️
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