よしまる

モリコーネ 映画が恋した音楽家のよしまるのレビュー・感想・評価

4.5
2023年よしまる洋画ランキング第3位🥉

 小学生の時に最初に買った洋画のレコード、当時はLPなんて買えないのでドーナツ盤。それがモリコーネの「夕陽のガンマン」と「続夕陽のガンマン」のカップリングEP。もう1枚がラロシフリンの「燃えよドラゴン」。
どちらも洋楽、邦楽問わずかつて聞いた事もないサウンド、なんの楽器かもわからない耳に残る音と、それでいてつい口ずさんでしまうキャッチーなメロディ。

思えばこの頃からサントラに対するこだわりが強くなっていたのかもしれない。

実際に劇場で体感して心底痺れたのは「アンタッチャブル」と「ニューシネマパラダイス」。すぐにタワレコで輸入CDを買い聴きまくった。陰キャな大学生。

そんなモリコーネへの想い入れに反して、その人となりはまったく知らず、亡くなられてこうして映画で初めて知ることの多いこと!長いどころかあっという間に時間が過ぎて、もっと観たい、もっと聴きたい!という稀有なドキュメンタリーだった。

著名な映画監督や作曲家たちがこぞってリスペクト、本人はいたってクールで、もちろん名声やお金が欲しくなかったわけではないだろうけれど、それ以上に作曲家としての矜恃、映画に対する情熱が凄まじい人だったのが感動的。

恐ろしいほどに研ぎ澄まされた音感、なんでも音楽にしてしまう豊かな発想と貪欲さ、やはり名曲、そして名作と言われる映画に滾るのはパッションだ。

この作品を見て、まだ知らない映画がたくさんという方も多いと思うのだけれど、ちょっとでも心に引っかかった映画はぜひ観てほしい。
かくいう自分も、親父が持っていたカセットの「映画音楽大全集」(当然オリジナルサントラではなく何とかフィルムオーケストラとかそういうパチもん笑)を聴きまくって曲に興味を持ってから鑑賞したという映画は数しれない。
そういう映画の入り方をしてもいい、もしろそうして映画に沼れ!というのを、モリコーネは信念として曲げることが無かった。

これからも彼の意志を継いだクリエイターが出てくるに違いない。先人の偉大さを尊ぶとともに、これからどんな映画音楽に出会えるのか、ワクワクが止まらなくなるのだ。