ミサホ

オペレーション・ミンスミート ーナチを欺いた死体-のミサホのレビュー・感想・評価

4.0
手持ちのDVDから、本作を選びました。コリン・ファースの作品はなんか良いですよね。彼がいるだけで、そこはかとない気品がふわっと立ち昇る感じですね。

さて、本作は第二次世界大戦における、打倒ナチスに燃えるイギリスの、ある奇妙な戦いを描いた作品である。

1943年。イギリスの首相チャーチルは、苦しい戦況を打開するためにシチリアを攻めたい。しかし、ナチスはそこに兵を置いている。なんとかその兵を動かしたい。どかしたいんだ!それがチャーチル率いるイギリスの戦略。

そこで、MI5は、イギリス軍がギリシャに攻め込むという偽の情報を、将校に仕立てた死体に持たせて海に放つ。これが本作のタイトルでもある“ミンスミート作戦”だ。

そのミンスミート作戦の主要人物であるモンタギュー少佐役を演じたのがコリン・ファース。

戦争においても、政治においても、フェイクニュースで相手を撹乱するという戦法は、昔も今も変わらない。野球⚾️で言えば隠し球?

機密文書がナチスの手に渡れば、シチリアの兵をギリシャに向かわせるだろう。そうして手薄になったシチリアに一気に攻め込むのだ。多少の犠牲はあっても勝算はある。

イチカバチカ…である。

死体の選抜から、名前、持たせる持ち物、経歴、架空の人間関係を創り上げる過程にはワクワクしたよね。

果たして、この情報がどうやってナチスの手に渡るのか⁈という見どころだし、機密情報が相手に渡ってからの、国家間の腹の探り合いがめちゃくちゃ面白い。

また、こんな奇抜な作戦を、戦時下の、勝つか負けるかの瀬戸際の作戦会議で、大の男達が堂々と提案し、大真面目に話し合い、決定するのだ。

そんな斜め上をいくような奇策が、時に状況を打開したり、風穴を開けたりする例が、成功例が、遡ってあったのだろうか。動物は擬態で敵を騙すが、人間はもっと面白いぜ。頭使うぜ…みたいな。

とても見応えがあって面白かった。
忘れた頃に観返したい作品である。
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