ゆかちん

オペレーション・ミンスミート ーナチを欺いた死体-のゆかちんのレビュー・感想・評価

2.7
コリン・ファースが観たくなって鑑賞。
日本語吹替のみなので、声聞けなくて残念。


第2次世界大戦下で実行された欺瞞作戦について描いたスパイサスペンス。
派手な雰囲気でもなく、とても淡々と進む。
実際のスパイはこういう感じなんやろなぁとも。


1943年、劣勢を強いられる英国軍はイタリア・シチリアの攻略を目指すが、シチリア沿岸はドイツ軍の防備に固められていた。
英国諜報部(MI5)は状況を打開するため、驚くべき奇策をチャーチル首相に提案する。「オペレーション・ミンスミート」と命名されたその作戦は、「イギリス軍がギリシャ上陸を計画している」という偽造文書を持たせた死体を地中海に流し、ヒトラーを騙し討ちにするというものだったーーー。



主人公のユーエン・モンタギュー(コリン・ファース)は、弁護士をしていたが、海軍に入るとかなんとか言って、妻子をアメリカに避難させることに。避難理由はユダヤ人だからということみたい。
そして、彼は弟のアイヴァー(マーク・ゲイティス)と暮らすことに。


コリン・ファースとマーク・ゲイティスが兄弟て強すぎん?笑。
この辺はとても感傷的に描かれていたけど、全体的に暗くてわかりにくかったかも。


そして、モンタギューは英国諜報部(MI5)の会議に参加する。あれ、海軍云々は諜報部が隠密やからなんかな。
MI5は、極秘作戦「ミンスミート作戦」を思いつき、ウィンストン・チャーチル首相(サイモン・ラッセル・ビール)に提案し許可される。
作戦の内容とは、実在する高級将校に仕立てた死体に偽造した機密文書を持たせて地中海に放出し、英国軍がシチリアではなくギリシャに侵攻を企てているとしてドイツ軍を欺こうというもの。

モンタギューとチャールズ・チャムリー大尉(マシュー・マクファディン)が作戦の指揮をとる。

死体を手に入れ、架空の人物である「ビル・マーティン少佐」という名と階級をつけ、海兵隊所属で恋人がいたなどという設定を加えていく。
ここで、恋人設定をよりリアルにするためにチャムリーの同僚であるジーン・レスリー(ケリー・マクドナルド)が協力することに。

ここからの過程がなかなか面白かった。
架空の設定を作っていくんやけど、途中からその人の物語が現実かのような錯覚を覚える。疑われたらあかんから、綿密に物語を作り、持ってるモノとか細部にまでこだわって用意する。

その中で未亡人ジーンとモンタギューの架空の恋みたいなのが生まれたり、許されない恋だから切なかったり。

チャムリーはジーンに片想い?してたからモンタギューとギクシャクしたり。
モンタギューの弟は実は共産党でソ連のスパイやろから二重スパイなんじゃないかとか言われたり。

スペインに三重スパイがいて協力したり。

そんな時に、バーで働いてたテディが実はドイツのスパイで、死体の手紙のことを知っててジーンに恐喝したり。ジーンはテディに真実とともに、うその情報も伝えていたのはさすが。

そこから、いや、バーで恐喝してきたスパイは反ヒトラーやからこれは大丈夫なんちゃうんかとかなったり。

…なんかややこしかった笑。

当時は何重スパイとかザラやってんな。
信用できるようで出来なくて、でも、ある意味協力関係になれたりする…でも、信頼はできない。

ややこしー!!
ゲームにしてもややこしー!!
裏の裏は表やけど、同じ表でもないとか。

なんやかんやで、なんとかうまくいって。

モンタギューもジーンもチャムリーもその後、それぞれ仕事もして家族とともに幸せに暮らしましたとさみたいに終わる。


なんか、原作や当時の背景とかについて前知識あったり、何回か観たりしてその細部のこだわりとかを楽しまないと、いまいちハマれない作品かもしれないなと思いました。


ただ、戦争映画の中でも、人間ドラマって感じがした。
緊迫する現実の中で、悲しみを背景に惹かれ合う2人。
でも、現実的に考えるとうまくいかない。
好きだけど、越えられない。
みたいな。


弟が処刑されないか心配で過ごす、とか。
軍事作戦で友情が生まれる、とか。


架空の設定で利用された死体。
彼は浮浪者で孤独に亡くなった若者。
姉が彼の死体を探しにきたが、国のために尽くしているからと会わせてもらえず、お金を渡されるが、怒って受け取らずに帰る。

モンタギューやジーンはめちゃくちゃ豪華なお家に住んでて。

庶民の犠牲も多かったんやろなという戦争の面も。

でも、死体の彼はその後しっかり弔われた。
そこの敬意と礼儀は人としてちゃんとしてるのは良かった。
ゆかちん

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