ケーティー

リベリオンのケーティーのレビュー・感想・評価

リベリオン(2002年製作の映画)
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感情を表に出せない中で、主人公の揺れ動きをどう表現するか


感情をもつことを禁じられた世界を描くSFアクション映画。当然のことながら、主人公も感情を表すことができないので、それをどう描くかが難しいのだが、ベタだけど効果的な朝焼けやベートーベンの音楽、リボンなどの小道具の描写がよい。また、主人公のバックグラウンドにあるものと、ストーリーで出てくるものをうまく結びつけて、ストーリーの展開のなかで、その個々に抱く感情の変化をわからせていくのがよい。具体的には、亡き妻と逮捕した女性、感情をあらわにしなくなり交流の少なくなった子どもと逃がそうとしたけど車から離れない犬、そして、かつての同僚と自分。バックグラウンドをさらりと出しておいて、そのあと、展開でポイントをおさえていくあたりが無駄なくスマートなのだ。
結果として、感情のない世界を描きながら、主人公の変化がしっかりわかるつくりになっている。

また、本作の魅力はなんといってもアクション。主人公が信じられないくらい強いし、謎に日本をモチーフにしたっぽい剣術が出てくるのだが、爽快感があっていい。

ストーリーは、落ちはわかるし、細かなディテールで少し?となるとこもあるが、それを差し引いても全体としては前半は感情を統制するとはどういうことか云々の会話劇の演劇的な魅力があるし、後半はアクション映画としての魅力があるし、全体としては好きな映画だ。

ちなみに、この手のSF映画は、本作のように、①初めにどこかから戻ってくる描写のなかでその組織や都市をわからせる、他に②逃げる描写を冒頭に入れてわからせる、③闖入の描写を冒頭に入れねわからせるで、初めに設定の説明を入れるが、それ以外の方法はあるのだろうか。アクションと設定説明を両方できるから、①~③になるのだろうけど、それ以外の方法をやっていて、もしうまくいっているものがあったら注意してみなきゃいけないなと思った。