うにたべたい

ウルトラマンタロウ 燃えろ!ウルトラ6兄弟のうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.8
1973年の年末のチャンピオンまつりで上映された、劇場版ウルトラマンタロウ2作目。
第25話『燃えろ!ウルトラ6兄弟』のブローアップ版です。

登場怪獣は宇宙大怪獣ムルロアです。
ムルロアは、人類が宇宙空間で行ったトロン爆弾の実験で破壊されたムルロア星に住んでいた生物で、突然変異により誕生し、復讐のために地球にやってきます。
この設定を聞くとギエロン星獣を思い出しますね。
ギエロン星獣同様、地球人によって住処を追われた、悲しき怪獣となっています。
いまいちマイナーな怪獣なのですが、ムルロアはめちゃくちゃ強いです。
タロウには、タロウを倒して助けに来たゾフィーも倒してしまったバードンという怪獣がいるのですが、ムルロアの強さは個人的にはバードンに次ぐと思っています。
タロウは結構いつもピンチに陥るのですが、ムルロアにタロウは倒され、さらにムルロアの能力によって地球はムルロア好みの、太陽光が届かない暗黒の星に変えられてしまいます。
ムルロア星の宇宙蛾(スペースモス)と共に、光のある場所に集まる習性のあるムルロアを避けるため、電力を使用することを制限された人類は、食べ物や飲み物を手に入れることさえ難しくなってしまいます。
ガチで人類滅亡のピンチが描かれ、それを救うため遥か宇宙彼方からウルトラ兄弟がやってきたのが、本作、『燃えろ!ウルトラ6兄弟』ですね。

そんなわけで、まさに、タロウのブローアップにふさわしい作品なのですが、
悲しいことに、上映されたのは前後編の後編のみで、タロウが倒されて地球が暗黒に包まれた後からのストーリーとなっています。
ムルロア誕生の経緯も描かれず、また、スペースモスによって墜落させられた旅客機に両親が乗っていて孤児となった6兄弟がいるのですが、特に説明無く悲観にくれる兄弟から始まるので、当時の子供達は話についていけなかったのではないかと思います。

また、本作は、ウルトラの父と母の馴れ初めが語られたり、エンペラ星人が名前だけ登場したりと、結構重要な回だったりします。
これは後のウルトラシリーズの重要な初期設定で、エンペラ星人との戦争・ウルトラ大戦争(ウルティメットウォーズ)については後々の作品で語られたりします。
ウルトラ大戦争で使用されたウルトラの国の至宝の一つ、ウルトラベルが登場する、ウルトラシリーズを理解するためにも観ておくべき一作ですね。