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神々の山嶺のandesのレビュー・感想・評価

神々の山嶺(2021年製作の映画)
3.9
夢枕獏、谷口ジローらの原作は未見。ながらも、冒頭のマロリーから一気に「これは面白いぞ」という気にさせられる。
アニメーションの出来は良く、CGとデジタル作画の強みである精緻さを出しつつ、弱みの「硬さ」をデザインと演出でカバーしている。切り絵っぽいというかレイヤーになっている背景など独特で、リアルに描く部分と簡略化させるところのコントラストが新鮮。ディテールに拘った動きは見事だし、反面、動かさない演出(ピンと張ったロープ、孤独な羽生パートのモブ)などアニメ演出ならではの魅力がある。
山、そしてエベレストに取り憑かれた人々のモチベーションとは何か。写真には映らない「理由」が明かされる(主人公が体感する)ラストは感動する。人智を超えた「あの場所」にしかないのだ。そして、タイトルで答え合わせとなる。
エピソードが中途半端だったり尻切れだったり、幻覚の場面は浮いてたり、マイナスポイントはあるが、補って余りある神聖なロマンチシズムが溢れている。
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