柿トマト

ブラックライトの柿トマトのレビュー・感想・評価

ブラックライト(2021年製作の映画)
1.0
やっぱり『96時間』(1作目)は名作だったと感じるための作品

予告から感じられる「孫(と娘)を攫われた主人公」というプロット自体が『96時間』そのもので、さらにFBIが自由に民間人を殺しまくるという極秘作戦「オペレーション・U(ユニティ)」なるものが明かされて、さあ大変というストーリー。今回のリーアム・ニーソンの映画は『96時間』と『ボーン』シリーズの「トレッド・ストーン作戦」を掛け合わせたような映画なのか!と心躍らせて試写会で鑑賞させてもらった。

リーアム・ニーソン自体大好きな役者だし、試写会で鑑賞しただけなので、あんまりキツイ言葉を使いたくないのだが、本作は駄作だ。まったく面白くない。

本作の期待する点は、家族を失ったリーアムがブチ切れで悪人を次々と薙ぎ倒していく様子が見れるか?どうかだ。それに、ベテランの捜査官らしく頭を使った罠とか張って、敵を倒してくれたりすると尚良い。つまり「痛快」さがこの作品の肝となるはずなのだ。

その痛快さが出てこないのは、アクション映画としていかがなものか。例えば、序盤で繰り広げられるカーチェイスで追いかけるリーアムの車が傷ひとつつかないのが納得できない。アクション映画を撮ってるなら、車同士ががぶつかったり、激しいデッドヒートを繰り広げないと、観客はキャラクターの安否を気遣うこともできない。ちんたら追いかけるだけって、とてもじゃないが2023年(米国では2022年公開)の映画だとは思えない。

それに、リーアムが家族を取り戻そうとブチ切れて戦うのが上映時間に対して遅すぎる。途中の新聞記者がFBIの闇を知って暴こうとして、命を狙われて…ってくだりが長かった。さらに、一番の見せ場である、最後のガンファイトも敵の人数もショボい。暗闇の中見にくいシーンの連続で、なんの面白みもなかった。

せめてストーリーさえ練れていれば救われたのに、お話も失笑しちゃうような内容。ラスボスのFBI長官の顛末も、お話的に見せなきゃいけないプロセスを飛ばしてるように見えるから、なんで最後長官がこんなのんびり出勤してるのか意味がわからなかった。

必要最低限の時間で、きちんと見せてくれる『96時間』はやはり最高のリーアム映画だ。
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