分かりやすい作品が、良い作品とは限らない。同様に、分かりにくい作品も、良い作品とは限らない。
前者は陳腐というレッテルを貼られやすく、後者はその難解さ故に深読みされる、より価値のあるモノと見做されることもあるのだろうが。
本作は、彼女の幻想・妄想に、現在・過去が入り混じり、後者に属する作品群であることは確か。
好意的な意見・感想も多いのだろうけれど。
私自身は、全く心動かなかった。冷たいのかも知れないが、哀しみを抱えて、それでも尚前に進むのが人間なのでは?
揺れ動くのが人間だ、というのも確かにそうなのだが。本作の彼女を好きになれない自分に、気づくばかりの作品だった。