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彼女のいない部屋のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

彼女のいない部屋(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

家族を失った女性の話。

冒頭から断片的なカットの連続で、なかなか本筋が掴めない本作。
どうやら主人公が家族を捨てて家出した事、その間に家族が雪山遭難で亡くなった事が分かってくる。

ところが、その後も家族が生きてる状態で出てくるし、子供が成長したり、夫との馴れ初めが描かれたりと、かなり混乱させられるものがありました。
おそらくは「もしも家族が生きていたら…」という彼女の妄想や生前の思い出が描かれていたのだと思いますが、現実と妄想、更には時系列もグチャグチャになっているので、分かり辛い作品である事は確かでしょう。

ただ、この無軌道でカオスな世界こそが、家族を失った人間の心理なのだと言われれば、一理あると思いますし、現実と妄想がシームレスに描かれる事で、「はっ!」となる場面があるのも面白かったです。
特に成長した娘が他人の娘だと分かるシーンは、現実と妄想だけでなく、生と死、過去と現在といったものも同時に乗り越えていくので、不思議な感覚を味わう事が出来ました。

まぁ、言ってしまえば、1人の人間の妄想を見させられているだけに過ぎないんですけど、それを興味深く見せてしまうところに、本作のマジックがあるのかなと。
ちょっと難解で実験的な作品ではありますが、90分と短尺な作品なので、興味があれば是非挑戦して欲しいなと思います。
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