なお

劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室のなおのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

公開から早くも2週間、やっと見られた!!!
本作の公開前に放送されたスペシャルドラマ版を見るまでは見ない、と決めていたので少々遅れての鑑賞。

予告編で周知の通り、本作の舞台はTOKYO…ではなくYOKOHAMA・ランドマークタワー。

観光客が大勢訪れる横浜で発生した未曽有のテロ事件。
正に絶体絶命の状況だが、「あの悲劇を二度と繰り返さない」その信念の元、MERの面々はまたも命がけの医療現場へ足を踏み入れる。

✏️団結の力
医療現場と災害現場。
日常を生きる中でできれば遭遇したくないこの過酷な状況がミックスされた「悪魔版・盆と正月が一緒に来たよう」な状況における人間ドラマを、スピード感と緊張感、そして爽快感あふれる展開で描くことに大成功。
2021年のドラマ版を正当にグレードアップさせた正統派「医療アクション」はやはり健在。

ランドマークタワーでの事件が起きる前の”助走”飛行場内で繰り広げられるシーンだけでドラマ1本分くらいのボリュームがあるのに、その後のランドマーク編でも全くダレることがないテンポの良さ。

ご存じの通りランドマークタワーは縦に長い建物なので、単純に物理的にもストーリーの展開的にも「奥行き」を作りづらい。

また背景もほとんど変わることがないのでビジュアル的に多少の「飽き」が来てもよさそうなものだが、効率的に
「タワー内で活動する喜多見斑(医療ドラマ)」
「タワー下で活動する音羽・YOKOHAMA MER斑(人間ドラマ)」
場面を転換することによりその心配をシャットアウトできている。

それにしても本作には多くの感動ポイントが仕込まれている。
喜多見が我が子を救うため究極の決断を迫られるシーン。
新任メンバーの潮見が覚悟を決め、突入をためらっていたタワー内に皆を助けに行くシーン。
その人が持つ価値観や経験によって異なる種類の「涙」を流すことができると思う。

自分が泣いてしまったのは、関東近郊の各県から医療従事者のチームが一斉にかけつけたシーン。
恐らくだけど、あれって本物の緊急車両を使ってるんだよね…?
だとしたら撮影的な面で関係各所との調整が相当大変だったに違いない。

なんかもう、ちょっとしたアベンジャーズ感というか、『エンドゲーム』でのサノスとの最終決戦前にポータルから消えたヒーローたちが「待たせたな!」と駆けつけるシーンぽくて泣いてしまった。

✏️あえて
と、そんなベタ褒めなここまでの感想だけど、ちょっと引っかかる点も少々。

・YOKOHAMA MERの存在感
単なるかませ犬ポジションに落ち着いてしまったのが惜しい。
チーフドクターの鴨居は準主役級の扱いなので除外できるが、鴨居以外のメンツにほとんどセリフが与えられておらず、活躍らしい活躍もない。

TOKYO MERのメンバーと協力して、共同でオペを行うとか患者を保護するとか、実際に手を取り合って救命にあたるような描写が欲しかった。

・アーカイブ映像(=過去の名シーン)
ちょっと挟まれる量が多いように感じる。ただここは賛否両論あるポイント。
過去の名シーンと共にアツい思いを胸に去来させ感涙できる…という人もいれば、単なる水増し感を感じる人もいるのでは。

中には前述のスペシャルドラマ版で使用したものと全く同じ映像を使っているものもあり、自分としては後者に近い感覚を覚えてしまった。

しかしこれらのツッコミは些細な点に対するもの。
本編の出来自体が良いので、これらの欠点を補ってあまりある。

☑️まとめ
骨太な医療アクションを堪能しつつ、しっかり・じっくりと感動の涙を流し心のデトックス。
予告編の感じだと「お涙頂戴」になりそうで少し怖かったけど、完全な杞憂でした。

しかし本作で起きたテロ事件、ここ最近の日本の情勢を考えると決して「フィクション」では済まされないテーマ性もあったように思った。

考えたくもないけど、本作で起きたような事件が実際に起きたら、そして遭遇してしまったら。
医療や救命のスペシャリストたちのお世話になることもあるかもしれない。

この場をお借りして、全ての医療従事者に感謝を。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★★★
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★★

🎬2023年鑑賞数:54(24)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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