よーだ育休中

劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

4.0
「死者ゼロ」の理念を掲げて危険な災害事故現場での救命活動を行う都知事直轄の救命救急チーム《TOKYO MER》。彼らの活躍に注目が集まる中、自らの危険を顧みない無謀とも取れるチームの行動は政府から問題視されていた。そんな中、厚労省は全国の政令指定都市への波及を見据えたモデルタイプとして、省直轄の《YOKOHAMA MER》の試験運用を開始する。


◆待っているだけじゃ、救えない命がある。

2021年の夏ドラマで視聴率ナンバーワンの人気作品であった『TOKYO MER ~走る救急救命室~』の劇場版。大規模医療事案として認定された重大な災害や事故現場に特殊車両《Emergency Room Car》を乗り付けて、危険な現場で速やかにトリアージを行い、レスキュー隊員と協力して迅速な救命救急医療を施すプロ集団の活躍を描いた作品です。

連続ドラマ、スペシャルドラマのその後を描いており、個性豊かで魅力的なキャラクターを引き続き豪華キャストが好演していました。

正義感が強く、頼れるチーフドクター(ただしプライベートはダメダメ、ですねっ!)喜多見(鈴木亮平)を中心に、元MERセカンドドクターであり、現在は医系技官としてMERの全国展開を目指す音羽ツンデレ統括官(賀来賢人)、場数を踏んでMERのセカンドドクターとして大きく成長した弦巻医師(中条あやみ)らがスクリーンで躍動しました。

メカニックの徳丸は基本別行動かつ出番がほとんどなかったですが、演じた佐野勇斗のスケジュール調整が難しかったのでしょうか...。


◆待っていなくては、救える命も救えない。

今作で喜多見チーフら《TOKYO MER》のライバルとして登場するのが、鴨居チーフドクター(杏)が率いる《YOKOHAMA MER》。《TOKYO MER》のように市立病院を兼任する医師では無く、海外の医療機関や大学病院で最先端の医療を学んだ凄腕医師。厚労省の役人が《YOKOHAMA MER》の為だけに集めたエリート集団。

危険を顧みずに自ら死地に飛び込んで決死の覚悟で救命活動にあたる《TOKYO MER》とは真っ向から対立する思想。『泥臭い雑草根性×エリートの生え抜き』という構図に加えて、ドラマ版でもテーマに上がっていた『政治利用』がうまく絡んできました。

「東京」と「横浜」は価値観こそ違えど《全力で命を救う》という根っこの部分は共通していました。人命をなんとも思わない腐敗した政治家は胸糞悪かったですが、おかげで音羽統括官(推し)の格好良さが割増でした。

ー 今から命を救ってきます。(バサッ)


◆死者は、ゼロです!(ネタバレ有)

舞台は横浜みなとみらい一本でしたが、劇場版128分の尺でよくまとめられていました。基本骨子はドラマ版をなぞるようなものという印象を受けましたが、魅力的なキャラクターと熱く胸を撃つ人間ドラマが素晴らしい作品でしたので、ドラマの二番煎じと言われても全く気になりませんでした。むしろこれが観たかった!

︎︎︎︎︎︎☑︎ 喜多見チーフの人柄の良さ
驚異的な救命救急の技術。どんなに危険な現場でも率先して飛び込んでいく勇気と行動力。苦しい時でも明るく周りを元気づけるスーパーマン。

︎︎︎︎︎︎☑︎ 喜多見チーフを支える仲間
どんなに超人的な技術とメンタルを持ち合わせていても、喜多見一人ではどうしようも無い壁にぶち当たる。そんな時に彼を支えて助けてくれるのが、チーフの人柄に惚れ込んでついてきた仲間たち。

絶望的な死地をくぐり抜け、それでもなお息つく暇なく押し寄せるピンチ。ドラマ版10話をなぞる様な展開にはハラハラしましたが、劇場版でも最後の『決め台詞』を聞くことが出来ると信じていました。

︎︎︎︎︎︎☑︎ 一歩を踏み出す事が出来た若手医師
︎︎︎︎︎︎☑︎ 重大犯罪者であっても治療にあたる
︎︎︎︎︎︎☑︎ 喜多見チーフの命を救った音羽医師
︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎☑︎ ゆり子都知事のひとりガッツポーズ

ドラマ版を彷彿とさせつつ(ドラマのカットが差し込まれていたので当然ですが)、映画から登場した新キャストを上手く融合させていました。


医療従事者へのリスペクトを感じるラストもすごく良かったです。《MER》はフィクションですが、現実の医療従事者も未曾有の《新型コロナウィルス感染症》との出口が見えない戦いを続けていたわけで。当該ウィルスによる感染症が、感染症法上の5類相当に移行してコロナ禍前の日常に戻りつつある今だからこそ刺さる映像でした。


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同じTBSのドラマ『マイファミリー』に登場したカエルのキャラクターが友情出演していて驚きました。目に入った瞬間に頭の中でソ、ド、シ、レ、ソ、ド、シ、レ ~ ♪って着メロが頭の中で流れてました。