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劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室のsyuheiのレビュー・感想・評価

3.5
友人の勧めで観た。2023年の松木彩監督作品。

都知事直轄の救命医療チーム「TOKYO MER」はチーフドクター喜多見の指揮のもと数々の危険な現場で命を救ってきた。多忙を極める喜多見に愛想をつかした妊婦の妻は実家のある横浜に帰るが偶然訪れていたランドマークタワーが放火で炎上、妻子もろとも命の危機に瀕する。果たして喜多見とMERの運命は?

TBSドラマとして複数シーズン続いてるTVドラマ『TOKYO MER』の映画版とのことだが俺は今作で初めて知った。過去のドラマの回想シーンなどが何度も挟み込まれるので俺みたいな初見者でも登場人物の関係や組織の利害関係がわかるよう配慮されている。ゆえにクライマックスではファンと一緒に熱くなれる。

燃料漏れを起こした飛行機から怪我人を救出する冒頭アバン、移動手術室と呼ぶべき超高性能医療バスでの危険なオペ、そしてクライマックスのランドマークビル火災と3箇所の盛り上がりどころがわかりやすい。それぞれにおいて"プロが現場でプロの仕事に徹する"ことでギリギリの死の淵から命が救われる。

チーフドクター喜多見を演じるのは『孤狼の血 LEVEL2』で圧倒的存在感を見せつけた鈴木亮平。彼が専門用語を含む指示を早口でテキパキ出し、無駄のない動きで救命医療にあたるシーンはいずれもカッコよく、多分今シリーズの大きな魅力なのだろう。ヒーローもヴィランも魅力的に演じられるすごい俳優。

ただ、彼以外のキャラクターは演技も含め類型的で凡庸。盛り上げ方も毎回だいたい同じで、大ピンチ!→エコー&スローモーション→ヒーローや救助が到着!というお約束の展開ばかり。TVドラマ版を観てないためキャラクターへの思い入れや物語背景への理解が浅いこともあり中盤以降はかなり退屈だった。

冒頭の飛行機炎上シーンは画面にそこそこ迫力あったしMERバスも登場して戦隊ヒーローモノの乗り物みたいで面白かったがクライマックスがどうにもショボい。ビルの上と下とで複雑なやり取りや駆け引きが行われる『タワーリング・インフェルノ』的展開を期待したんだがヒーローが全てを解決してしまう。

TVドラマの映画版なんだからそこまで目くじらを立てる気もないけど、一部の俳優の怒鳴り調のセリフや赤面するような古臭い演出も相変わらずで、なんぼ主役が魅力的でも、作品全体のバージョンが追いついてないのはもったいないなぁと思った。鈴木亮平の魅力で星0.5おまけ。

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