試写会にて
聾者を題材にした映画今年多いなあと思ってたが良かった
映像も音響も字幕もすごく丁寧に作り込まれていて、監督はじめスタッフ陣が熱心に勉強したんだろうなって感じたし、こだわりがすごいと思った。
特に、手話字幕の凝り方がすごかった
他の聾者を基にした作品よりも身近に感じたのが、この作品のいいところだったかもしれない
例えば、コンビニのレジでポイントカードの有無を聞かれる場面
時間軸がコロナ禍なので、店員もマスクをしているから口の動きが読めない。
なので、ケイコはポイントカードを聞かれても聞こえないし、見えないからエコバッグを出すし、店頭の案内を示されてやっと気づく。そんな私たちだったらスムーズなやり取りでどんな場所でもありふれているやり取りだからこそ、すごくリアルに感じた。
またこの映画のリアルな質感を生んでいるのは、16mmフィルムで撮った映像でもあると思う。どこか懐かしいような耳が聞こえないだけで本当に普通の日常だからこそすごく自然に思った。
しかして岸井ゆきのはすごい。
上映前挨拶で、"台本を貰うより先にボクシングの練習が始まったからこそ、ケイコがどんな人かよりも体の使い方がインプットされてたから、台本を渡された時点でスッとケイコになれた"的なことを言っていて、観てみるとなるほどと思うくらいにそこにケイコが生きていた。
他のキャストもセリフ以外の表情、眼差し、体の使い方、リズム感がすごくリアルで良かった。
総じて強く美しい映画だった。