岸井ゆきのちゃんの素晴らしさの分かる映画だった。
感想と言えばそれ。
まるでそのまま日常を切り取るかのような淡々としていて、でも臨場感のある、胸がギュッとなる作品だった。
一番最初に思ったことは『音』のする映画だな、ということ。
もしかしたら、耳の聞こえない主人公のそれをより際立たせるための演出なのかもしれないと思うほど。わたしたちは日々、こんなにもたくさんの『雑音』の中で過ごしているのだな、と思い知らされる。
その対比で、キャッチコピーにも書かれていた、あまり多くを描かれることのない主人公の心の中の『雑音』は、わたしたちが日々聞いている、聞こえているそのどんな音たちよりも複雑で、ノイジーなのかもしれない、と思った。