[聾唖のボクサーの日記] 60点
2022年ベルリン映画祭エンカウンターズ部門選出作品。初三宅唱。冒頭の日記を綴る音に始まり、メトロノームのような縄跳びやサンドバッグの音が重なるボクシングジム、抜群のタイミングで電車が通り過ぎる高架橋、果ては本来なら聴こえなさそうな画面外の会話まで、まる耳を澄ませるかのように、綿密に音を組み上げていく。彼女がそれを目で知覚することを、敢えて我々に耳で知覚させることで、逆説的に彼女の世界に近付いているのかもしれない。ケイコの繊細な感情の変化やオーナーとの擬似的な父娘関係(特に赤い帽子の継承)など素晴らしい点も多いが、そこまでハマらず。まぁまた見直します。
