かわばうあー

ケイコ 目を澄ませてのかわばうあーのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.6
「きみの鳥はうたえる」のような、ヒリつく感情が交わり合う感じを勝手に想像してたから、正直なかなかしんどかった、というのが正直な感想。
耳が聴こえず、言葉をほぼ発しない、張り詰めたような表情で、何を考え、思っているのかが分からないまま淡々と進んでいく。きっとこれは、ケイコから見た現実でもあるのだろう。
その息詰まりを対面のコミュニケーションではなく、ボクシングに込める。でも痛いのは嫌い、攻められると下がってしまう正直さ。その分、ケイコの表情が一瞬ほころぶところで嬉しく感じたし、ノートのメモに記された彼女の思いや、弟とその彼女と解けていくやり取りでようやく息ができる感覚になった。
とても不思議な作品だった。
この時代のいろんな人を演じられる岸井ゆきのさんはほんとすごいなと思った。