このレビューはネタバレを含みます
これが2022年を締め括る映画になるとしても構わないなと思える良さはあった。
聾を題材にした映画には必ずと言っていいほどある"完全無音であなたも気分味わっちゃいなよ"的なシーンが無く、観終わってからもテーマはそこじゃないんだなと改めてはっきりわかるのが良い。なんかむしろ主役は三浦友和じゃないかとすら思う。
16mmフィルムの暖かさや粒子の蠢き(濱口監督の言葉を借ります)はもちろん、それを最大限に活かすロケーションと生活に入り込んだような音設計が完全にミニシアターで観てごらんって感じだったので劇場で観れたことは嬉しい。
ただ、完全なる意識過剰な思い込みだけど、役者の演技の奇跡待ちみたいなシーンがところどころあって、もちろんそれが琴線に触れることもあるんだけど、今日は気分的に逆に冷めてしまった。
奇跡は本当は監督が自分で起こさなきゃいけないものなんだ。ずっとカメラ回しときゃいいって話ではないんだ。
演技のシーンと演技だけど演技じゃないシーンと演技じゃないけど演技のシーンが俳優次第で交差しまくっていてストーリーへの没入感は途切れてしまった。でもこれも完全に自分の気分の問題だからベストタイミングで観れる日が来ると良いな。
初のテアトル新宿、前の回の音漏れが凄すぎて思わず外で待機しちゃった。邦画はロビーでネタバレ食らっちゃうので注意だ。
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