このレビューはネタバレを含みます
これはすごい。
岸井ゆきのの手話がもう第一言語のそれで演技に引き込まれたし、聾者と分からず対峙する人からしたら側から見てなんとなくぼーっとしてるように感じるのかなと思うようなところとかリアルなんじゃないかと思ったし、でも観客はそれを知ってる上で観てて芯を強く持ってそうなところとか、1人の人間を嘘なく描いている感じがすごく好きだった。
字幕の付ける付けないや付け方にこだわりがあって人の生きている世界線の違いを描いたり、風景描写でこの作品で描かれている境遇の違いを超えて感じられる自然の美を描いたり、すごく丁寧に作られてて観てるこっちも丁寧に観たくなる。
ただ続いていく人生の1コマを覗いたような作品だったから、ケイコがこのあと生きていく世界を想像しながら、自分もこの後どう帰ろうかとか、この瞬間が作品になったりするのかとか考えた。
三浦友和最高すぎ。会長のあの人の良さってただ演じてるだけじゃ絶対出てこないのに出せてるのは、役者その人自身がいい人だとか演技が上手いとかいろんな要素があってのことなんだろうけど奇跡的なバランスな気がして、泣きそうになった。