原案本は未読。
なんと言っても、タイトルが凄く良い。
耳を澄ますでも無く、目を凝らすでも無く『ケイコ、目を澄ませて』
そして主人公ケイコを演じる岸井ゆきのが世界を見据えるあの眼、あの表情。
勿論肉体的説得力も充分。冒頭のミット打ちシーンでの肉体言語の雄弁さたるや、映画人がやたらとボクシング映画撮りたがるのも無理は無い。
それでいて、ケイコを決して特別な人間として描かず、聴力に障害がある"だけ"の普通の人間が日々懸命に闘い生きているドキュメントとして成立させており、あのラストも人生を"共闘"する仲間がいるんだ、という事を発見する人間讃歌に思える。