荒川辺に住んでいる者にはわかるたまにあるあの臭い日、人工河川の流れるあの町のいつもどこか曇りがちで憂鬱な空気が流れる日々、どこかに希望を見出さねばやっていけないけれども、ふいと嫌になってくる時はやって来る。それでもひょんな瞬間瞬間に繋ぎ止められてどうにかなんとか道を逸れないように逸れないように積み重ね積み重ねていく。
そんな日々の先に悲しいこともたまに少し嬉しいこともあるけど、その踏み出した一歩が思い通りの結果でなくてもその一歩から生まれた新しい景色をいつもの町並みに写してくれるのかも知れないと思わせてくれた本当に素晴らしい映画。
それぞれの悲しみとやるせなさを抱えながら蝶のように舞うシーンは思いがけず涙が止まらなかった。
