はせ川

ケイコ 目を澄ませてのはせ川のレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
5.0
最初のシーンのミット打ちの時点で何故か泣いてしまい、ノートが読まれるシーン、試合で吠える瞬間で計3回ほど泣いてしまった。
開始から音の無い世界を意識して見てしまっていた(それは、聴者である自分が無自覚にろう者に思うハンディへの全く良くない哀れみでもあった)が、不思議とラストにはそれが融解されていくようにも見れた。鏡、身体の動き、ズボンからはみ出たシャツ、会長の赤と爪やシャツの青、主人公の声を出す瞬間、そしてエンドクレジット……音が無い世界が並行してるのを意識することで、目を凝らす事と、音を感じれることの素晴らしさも映していたように思ったからだ。
言うのも野暮だが、ケイコと会長が本当に素晴らしくそして美しい。それを下支えする、消えゆく下町情緒をも見事にパッケージしていた。エンドロールの最後の一コマ、一音まで、気を許してはいけない映画。だからこそ、映画館で観ないといけない。
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