アンソニー

ケイコ 目を澄ませてのアンソニーのネタバレレビュー・内容・結末

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

良い意味で映画を観ている感じが
しなかった作品でした。
盛り上げるような音楽も無く
主人公のセリフもほぼ無く。
あるのは環境音と周囲の声。
それがどこか寂しさというか
一人ぼっちなような気持ちに
させていたと思います。
その音や声すらもケイコには
聞こえていないとすると
彼女はもっと一人ぼっちだと
感じているんでしょう。
だから「人は所詮一人ぼっち
(正確には覚えていません…)」
のようなニュアンスのセリフが
出てくるんだなぁと思いました。

耳が聞こえないことで
人との繋がりがより明確に見えました。
寄り添ってくれる優しい人や
嫌がったり面倒だと関わることを
しない人もいました。

声で伝える事が出来ない。
それがどれだけ大変な事なのか。
主人公は気持ちをセリフにしません。
僕はケイコの事を物語を通じて
観てきているはずなのに
本心では何を思っているのか
名言されないと真に理解できているのか
不安になってしまいます。
人が想いを伝えるのに
「声」がどれだけ重要な役割なのか
よく分かりました。
なので、ケイコの日記が音読される場面。
あのシーンでケイコの心の内が少し
明かされていく。
ここがすごく良かったし安心しました。

最後だけはハッキリとケイコの気持ちが
分かった気がしました。