13unta

ケイコ 目を澄ませての13untaのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
4.7
冒頭、筆記音からゆらめき立ち上がる雑音の数々がミット打ちの打撃音でパーカッシブに音楽化する、もしくはその後流れる音楽が反転して生活音として響く驚き。

この題材にかかるバイアス上触れづらく、しかし不自由さと共に確かに存在するであろう「聴こえないことの都合の良さ」をも軽やかに描き出す主人公像は、しかし溢れる音像と画に宿る荒い粒子の向こうに(あまねく他者同様)存在して、確かに私たちが観察者であることを常に想起させる。

世界は全く平等ではなく、人には必ずしも寄り添えずとも、等価に存在し続けている美しさを真摯に描くこの姿勢をこそ優しさと呼びたい轟音サイレント映画。
13unta

13unta