ケイコの気持ちを想像しながら観る。ナレーションやセリフ、劇伴が無いので正に想像。そのままだんだんとケイコの感情に寄り添っていく。ほとんどセリフや過度な演出はなく、16ミリで少々粗く映し出した下町は登場人物達を優しく見守ってくれていた。
ケイコの本当の感情がわからないまま、束の間、彼女の気持ちが語られるシーン。映画館の空気が変わって、あぁ今みんな彼女の気持ちを知って彼女に共感している。と思いながら私は号泣でした。(勿論空気の変化は推測なんだけど。)こういう一緒に観ている他人の感情の変化を感じられた時、映画館に足を運んでよかったと心底思える。
みんな知らず知らずのうちにケイコに感情移入し、彼女がどう思いどう感じていたのか思いを馳せていたんだね。彼女はしっかり悲しんで怒って楽しんでいた。
優しいギターの音だけが響く中、家族や友人、コーチやオーナーとの関係性を観てケイコはこの世界の片隅に生きているんだと何故だか強く感じた。