Yuri

ケイコ 目を澄ませてのYuriのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
1.4
淡々と静かに岸井ゆきのの演技力に懸けている作品。でも、岸井ゆきののこういう表情は他作品でも観たことがあるので、彼女は通常運転で演出で彼女の良さを最大限生かしている感じがした。手話に字幕がつかないシーンに気づいてからは、こちらも観ることに集中させられましたし、そういう演出の上手さが映画好きにウケそう。ケイコはもし、話せても話せなくても、お喋りな子ではないんだろうなと思った。感情を相手に伝えることや泣くことが得意ではなく、一人で抱え込んだものをボクシングで昇華させてるのだろうと感じた。つまり、相手ありきではなく、自分にとって必要なコミュニケーション手段がボクシングだったという。そんな彼女にとって話さなくても拳と拳でわかりあえるマインドのボクシングジムは心地良い場所だったに違いない。ケイコの父親が出てこないので、会長のこともお父さんみたいに思ってたんだろうなと。不安や戸惑いが解決できないまま、放り出されることとか、こちらが納得する前に物事が進んで終わってしまうこととか、大人になるとそういう場面は多くなるけれど、人生の大事なシーンで感情が宙ぶらりんになってしまうと、すごいキツイし、ダメージを負ったまま、ずるずると生き続けなければいけない地獄が待っているから怖い。そういうことを怖いと感じながらも、失わない為に走り出せるケイコは強い女性だなと思った。
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