YasujiOshiba

ケイコ 目を澄ませてのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
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アマプラ。23-161。始まった瞬間にヘッドホンのヴォリュームを調整する。音圧がすごい。ふつうなら音楽が鳴る。それで決まる。けれどこの映画は調整が難しい。自然音だけだから。

不思議だ。音が聞こえないケイコに音が溢れている。リズムが打ち出されてくる。目を澄ませている身体は世界の響きにつつまれている。

すべてがディエジェティック。もちろんフィクション。だけどコメンタリー音楽のようなノン・ディエジェティックの響きがない。すべてがフィジカル。フィジカルな音圧。

予告しか見ていない『THE COCKPIT』(2014)も、ある意味、同じなんだろう。あれもディエジェティックな音だけのはず。そうだよ、なぎちゃんが絶賛してたな。おいらもみたいな。

フィジカルな音。 ケイコ/岸井ゆきの。その声はあの「はい」だけじゃない。リングの上で叫ぶ「うぉおおお」だけでもない。声が分節化されることで声となるなら、グローブでミットを叩く音、そしてステップもまた、声なのかもしれない。

ぼくらは目を澄ませるケイコに耳を澄ませることになる。

そんな映画。

追記:
この鼎談おもしろかったっす。
http://www.kaminotane.com/2023/01/23/22269/
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