クリムゾンキング

今晩は愛して頂戴ナのクリムゾンキングのネタバレレビュー・内容・結末

今晩は愛して頂戴ナ(1932年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

陽気な仕立て屋モーリスは遊び人の子爵から踏み倒されそうになった服の仕立て代をもらいに行ったら館に住むジャネット姫に恋をする。しかも男爵と紹介されしばらく滞在することになって色々あって男爵じゃないことがバレる。

昭和の漫才の決まり文句みたいなすっとぼけた邦題だけど内容はもちろん漫才ではない。
「陽気な中尉さん」でも陽気な中尉さんを演じたシュヴァリエが今度は陽気な仕立て屋を好演。
冒頭、生活音がだんだん重なり一つのリズムになるくだりや、人々が歌を紡ぎ合いそれがお城まで続いていくくだりなどとてもワクワクする。

荒くれ馬を表現するのに早回しを使ったり、「ならず者」の話をする際壁に映った影がもう一つの人格を表現しているかの如きショットなど見ていてとても楽しいし、犬や壁にかかった肖像まで歌に参加する演出など今の時代にも通じる演出方法がたくさんあってとても見応えあるし、叶わぬ恋かと思いきやしっかりとハッピーエンドで明るい終わり方なのもとてもいい。

しかし衣装係のおばちゃんが自分の乗馬服にケチつけられて「こんな侮辱は初めてよ!」って言ってプリプリしながら出て行った後に詳細知らないみんなが「え!?マジで誰だそんな物好き!?」とか言って違う意味で伝播してくのがやっぱいつの時代でも面白い展開だなーと思った。