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今晩は愛して頂戴ナの一人旅のレビュー・感想・評価

今晩は愛して頂戴ナ(1932年製作の映画)
4.0
ルーベン・マムーリアン監督作。

『ラヴ・パレイド』(1929)でもコンビを組んだモーリス・シュヴァリエとジャネット・マクドナルドが再び共演した恋愛喜劇の佳作です。

パリで暮らす貧乏だが陽気な仕立て屋の男と郊外の屋敷に住む貴族の令嬢との恋のゆくえを描いた“身分差恋愛コメディ”で、令嬢にお近づきになりたい一心で男爵を装い屋敷に滞在することに成功した仕立て屋の男が織りなす騒動と恋路をコミカルに描写していきます。

身分差に揺れる男女の不器用な恋のゆくえを描いた古典作で、身分や職業、財産の有無に関係なく、嘘偽りのない純粋な愛情で惹かれ合っていく男女の風景が晴れやかな気持ちにさせてくれますし、クイックモーション&スローモーションを上手に使った映像や人々の日常の動作が組み合わさってリズミカルなメロディを形作る冒頭の演出をはじめ遊び心溢れる工夫も愉しさいっぱいの恋愛コメディとなっています。

主演のモーリス・シュヴァリエが男爵を装いつつも時々仕立て屋としての知識と技量が表に出てしまう男を軽妙に演じていますし、相手役のジャネット・マクドナルドも音楽映画の看板女優としてミュージカルシーンをこなしています。
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