TaiRa

今晩は愛して頂戴ナのTaiRaのレビュー・感想・評価

今晩は愛して頂戴ナ(1932年製作の映画)
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静寂に包まれた早朝のパリ。男がつるはしを振り下ろす、ドン。道端で寝る酔っ払いのいびき、コォー。ほうきで路を掃除する、サッサッ。人々が起き、街が動き出す音、音、音がリズムを刻む。ドンシャッコォーサッサッドンシャッコォータタタ……。やがて劇伴が加わり、目覚めた主人公が歌い出す。トーキー誕生から5年目の1932年、音は音楽に変わりミュージカルが始まる。

街行く人に歌い掛ける時、歌詞が押韻しているのが面白い。主人公の歌が人から人に伝染して行き、最後はヒロインにたどり着く。音楽面以外でも高速カッティング、早回しとスローモーション、オプチカルなど、かなり技巧派。馬のギャグがどれも最高。ヒロインがネグリジェ姿になるのが最大のお色気シーン。汽車が迫る線路に人が立ち目の前で止める、みたいなシンプルな危険撮影でヒヤヒヤ。
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