ヒノモト

やまぶきのヒノモトのレビュー・感想・評価

やまぶき(2022年製作の映画)
2.1
『ひかりのおと』『新しき民』の山﨑樹一郎監督の最新作。

強い思想的なメッセージを伝えたいのは分かるのですが、それを終盤ストレートに台詞として発するには、物語としての説得力に欠けるところがあり、そのメッセージだけが浮いてしまう感覚が残りました。

物語は勤勉な外国人労働者の不幸な事故と警察官を父に持つ女子高生が駆り立てられる思想的行動サイレントスタンディングがクロスするお話。

映画は物語を雄弁に語るだけの手段ではないですが、今作鑑賞のために有料で時間を費やした以上、ストーリーラインの流れで自然に、思想的メッセージを発するに行き着く心情を観客側に掴ませる必要があると思います。

そういう意味で今作は、外国人労働者を描くのか、女子高生を描くのか、どちらも行動原理がわかりにくく、鍵となる自動車事故の経緯も映像に説得力がなく、滑稽に見えています。

終盤の展開からすれば、離れて暮らす母親のバックグラウンドや、父親の心情をもう少し時間をかけて描く必要があるし、そうして上で女子高生の娘の気持ちがどのように揺らいでいるのかも、映像でもっと知らせる必要があると思います。

上映後のトークを聴いていると、長尺だったものを現在の長さにカットしたとのこと。
今の形では、魅力的なキャスト陣の演技も浮かばれないです。
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