山本薩夫の描く軍事クーデターもの。
自衛隊の反乱分子たちが寝台特急を占拠し、国家転覆を狙う。
70年代末〜80年代ってのが実感を伴ってこういう題材を描けた最後の頃なんじゃないかと思ったりする。これ以降の時代は押井守のような「もし現代日本において軍事クーデターが起きたら」というシミュレーションの側面が大きくなっていくので、クーデターが起きることがあり得るし一部共感もできるという最後の時代だったのではないか。
だからこそ山本薩夫は国体保持を掲げる自衛隊員たちの八方塞がり感、愚かさを見せながら、同時にそこへの共感とロマンも感じさせる。
そしてその頑固さと儚さを一体に演じ切る渡瀬恒彦が素晴らしい!同士の山崎努とのシーンも、最後の山本圭とのシーンもいい。
吉永小百合演じる妻とのドラマパートがかったるく感じるのと、どうしても寝台特急という舞台設定があまり国家規模の危機って感じられず気にはなる。
でも基本的には好みな作品