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君は放課後インソムニアのハルのレビュー・感想・評価

君は放課後インソムニア(2023年製作の映画)
3.9
この空気感は好き!
不眠症×ラブ×学園モノ。
原作ありきの作品だからかキャラ設定、人物描写が秀逸だった。
ちょっと暗めの主人公、底抜けに明るいヒロイン、学園モノには大切な話の分かる保険の先生(桜井ユキ)
必要なピースは揃ったね。

不眠症で寝れない二人は屋上の物置で出会い(森七菜演じるマガリはお昼寝中)
お昼寝に最適なこの部屋を使い続けるため、天文部(仮)の活動がスタートする。
正式な部とするには実績が必要との事で、二人がイチャイチャしながら奮闘していくお話し。

まず、奥平大兼が見せる。
『マザー』『マイスモールランド』『VILLAGE』と着実にキャリアを重ねてきた若武者が奥手な男子を好演。
飾らない彼の演技は少し不器用なナカミにピッタリ。
作風とのFeelingもGOOD。

そして…森七菜の魅力が全開だ。
彼女は「いま、可愛く見せるとき!」の瞬発力が凄い。
『銀河鉄道の父』のお爺ちゃんとの一騎打ちシーンでもそうだったけど、「ここが見せ場!!」となった時にスイッチが入るんだよね。
この若さにして武器の使い方、見せ所を熟知している稀有な女優だと思う。
月九のヒロインも決まっているし、本当に力のある人はやっぱり戦線に戻ってくる。
事務所移籍騒動もなんのその。

何より彼女が演じたマガリは本当に魅力的な女子(森七菜は二十歳超えているけど、リアルな高校生にしか見えない…)
僕自身、俯瞰して物事をとらえるタイプだから一歩引いてしまう事が多く、こっちのペースを崩してくれるような明るい女性にいつも惹かれてしまうんだけど、本作の彼女はまさにそれ。
男がグダグダ考えてたら、そばにいて笑ってくれるだけで良い。
それが一番。
告白の返答に「ねぇ写真撮ってよ、今が生まれてきて一番嬉しい顔してるから!」って…2億点満点の回答じゃない?
高校生の頃にこんな娘と付き合ったら一生忘れられなくなりそうだ。
序盤は寝れない事を共通項として仲良くなり、そこからはずっとラブラブモードが最後まで。
若さのトキメキって最高だよね。

また、本作のもう一つの特徴がロケーションの素晴らしさ。
古都金沢の街並みに情緒を感じられ、田舎を巡るときの風景は色鮮やか。
壮大で広々した場所が映されると、それだけで心は弾む。
自然こそ究極の癒やしだ。

こちらは原作未読だが、実は以前から注目していた作品。
理由は…僕も寝るのが異常に下手だから。『不眠症』というよりは、決まった時間に起きたり寝たりするのが子供の頃からとても苦手。
なので、劇中のセリフやシチュエーションに頷く部分がとても多かった。
「寝られずにスマホをいじって気付いたら朝。起きなきゃいけない時に眠くなる…」などは日常茶飯事。
国家資格の試験を立て続けに受験していた時期は年1しかチャンスがないから毎回調整に四苦八苦…苦い記憶が蘇る。
いつでもどこでも寝れる人は天才だと思っています。

なお、本作のネガティブ思考は初めのみ。
寝れない事も誰かと分かち合えれば幸せに繋がり、胸をキュンキュンさせてくれる直球恋愛ドラマな仕上がり。
完成度高めなので、ストレートなラブストーリーが好きな方はハマるはずです。
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