終戦後、
進駐軍相手の慰安婦として従事してきた女性たち。
慰安所は進駐軍による、『性病の蔓延を防ぐ』という建前の元廃止されることとなり、女性たちは赤線地帯での女郎屋で働くことに。
そんな赤線地帯も、
昭和31年の『売春防止法』の成立によって閉鎖。
それでも逞しい女性たちは、新しい仕事場としてトルコ風呂(今のソープランド)を選び・・・
とにかく女性たちが逞しいです。
その中で唯一、香山美子だけが時代に乗ることができませんでした。
多くの男に愛されたがゆえに、
頑なに自分の信念を通します。
たった一度を除いては。
夜の女性たちの生の声が聴きたいとやってくる加賀まりこ。
店にやってくる男性客にインタビューをしたりするところが可笑しい。
とっても魅力的です。
加東大介が興した店を継いだのが長門裕之。
女性たちの待遇改善に大奮闘するが、結局損な役回りを背負う。
赤線最後の日、
馴染みの客が集まって、
『蛍の光』を合唱。
ポツンとネオンが消えるシーンがわびしくて印象に残ります。
ここで働く女性たちに、
悲壮感は全くない。
自分たちの地位向上に向かって、
ひたすら突き進んでいく。
組合まで作っちゃいますから。
山本直純による音楽も快調で、
戦後日本の風俗史をテンポよく奏でてくれる。
前田陽一監督のデビュー作ですが、『進めジャガーズ・敵前上陸』(1968)と同じくらい気に入りました。
菅原文太兄ィが、プロローグでちょっとだけ出演。
異色の重喜劇です。