大倉順憲

ハウの大倉順憲のレビュー・感想・評価

ハウ(2022年製作の映画)
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犬童一心監督「ハウ 」(東映本社試写 )を観て。

動物が嫌いだった。7才の頃、近所で飼ってた犬に咬まれたせいか。猫も毛がセーターなんかにくっつくし、うるさいし、臭いし。 
 30才を過ぎて 、ふとしたはずみで結婚をした。奥様が大の猫好きだった。新婚の狭いアパートに3匹の猫が走り回っていた。1年半後には奥様と共に猫たちも逃げ去った。ひとつきもしないうちに、1匹の猫が帰ってきて俺と棲み始めた。 朝は「ニャ~オ」で起こされる。仕事から帰ってくると、4軒先の角まで首 の鈴を鳴らして迎えに来る。猿回しの猿の如く肩に乗る、頭の上に乗る。寝るときは布団に潜り込む。もう相思相愛だった。それから10数年後、突然失踪した。捜せど捜せど見つからない。子猫の時、踊るように歩いていたのでミハイル・バルシニコフの名を借りて 「バル」。父母、別れた奥様の夢は見ないのに、 「バル」の夢はいまだに見る。未練たらしい男だ。

・・・ということを思い出しながら観る。東映さん。集中力が欠損しておりまして 誠に申し訳ございません。まあ、田中圭がメインになってるけど、このお犬様が主役だな。とうとう犬が出てきましたか。東映ですよ。高倉健、菅原文太、市川右太衛門、片岡千恵蔵ですよ。とうとう「犬」ですか。1シーンだけの転形劇場の雄、品川徹さんが存在だけで「あれ誰? 」感をかっさらっていく。無言の石橋蓮司 も良し。どうせ犬を出すなら、落語の「元犬」はどうだ。六角精児で。あいつなら出来る。今なら、ちょうど腹具合がゴールデンレトリバーだし。あ、 「元犬」は掃き溜めで生まれた雑種か。まあ、あいつも似たようなもんだ。
大倉順憲

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