ぶみ

N号棟のぶみのレビュー・感想・評価

N号棟(2021年製作の映画)
3.0
これは夢か、幻か、現実か、それとも…

後藤庸介監督、脚本、萩原みのり主演による実話をベースとしたホラー。
卒業制作で撮影するホラー映画のロケハンのため、霊が出るという噂で有名な団地を訪れた大学生等の姿を描く。
主人公となる女子大生を萩原、ロケハンを企画した元彼を倉悠貴、その恋人を山谷花純が演じているほか、団地の住人として諏訪太朗、筒井真理子といったベテラン陣が登場し、脇を固めている。
物語は、前述の三人が団地を訪れたところ、怪現象に遭遇し、その真相を突き止めようとする姿か描かれるが、特筆すべきは、やはりそのロケーション。
実際に2000年に起きた幽霊団地騒動をベースとしており、流石にその団地を舞台にしてはいないと思われるが、雰囲気は抜群で、廃墟マニアも納得しそうな感じのもの。
そして、死恐怖症を持つ主人公を筆頭に、全ての人物が何か隠しているかのような感じであり、夢か現実か、その間を漂っているかのような映像が、全体の不穏な空気感を増幅させている。
反面、そこまでホラー的な演出は多くなく、どちらかと言えば心理サスペンス寄りな印象。
同じスクリーンにいたカップルが鑑賞後に「ミッドサマーみたいだったね」と言っていたのが耳に入り、たしかに言われてみれば、そのような感じも受ける反面、独自の死生観と、廃墟特有の退廃感が堪らない一作。

これは二人の秘密だよ。
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