RAMPO

N号棟のRAMPOのレビュー・感想・評価

N号棟(2021年製作の映画)
3.0
この作品は正直、評価が難しい。

頭のおかしい主人公筆頭に主要登場人物のいずれにも共感できる者がいない。
主人公とその元彼、その現在の彼女であり主人公にとっては友人、との三角関係を相互に許容しているという設定がそもそも気持ち悪いし、主人公がタナトフォビアで睡眠不足、かつ、生命維持装置に繋がれた母を抱えて精神的に追い詰められ、情緒不安定なのは仕方ないとして、その行動は完全に異常者であり犯罪者。

対するは、廃墟のはずが何故か多くの住民が住んでいる団地で、皆なんか様子がおかしい。教祖みたいな人も居るし。
ここでごく一般的な感覚ならば、普通にヤバイ集団(廃墟に不法入居したカルト教団だと認識するレベルと思う。)だと気がついて、さっさと逃げると思うが、頭の逝かれた主人公は元彼と友達を巻き込みながらグイグイとその集団に入り込んでいく。

その結果、現実には特に誰に迷惑かける事もなく静かに暮らしていたコミュニティで散々大暴れし、何人も死者も出し、しまいには1人で死ぬのはヤダって駄々こね…た割には、まぁ普通に何事も変わりなかったかのように日常世界が続く、むしろ元気な母に会えて良かったね、みたいな。

他の方々が述べているように「ミッドサマー」まんまなシーンも確かにあるけど、詰まるところこれカルトな集団とそれによる人コワじゃないので、類似性とか劣化版って評価は私としてはあまりピンとこない。

結局、全編とおして何だそりゃって話(あえて曖昧に描く事で異界と現実世界の境界をぼかしてるのか、実は細かい辻褄含めて何も考えてないのか、よく分からない)。
それに登場人物の誰にも感情移入できないどころか主人公の言動に終始イライラしどおしだし、どう考えてもカルト集団なのに劇中の誰もその事を指摘しないし、失踪した教授の部屋にあった模様と団地の一部屋にあった模様の類似性とか謎を放り投げたまま終わったけど…。

それでも全体的な出来でいえば、最近のJホラー、少なくとも◯◯村3部作あたりよりは、まだマシなんじゃないかって思ってしまった。
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