アメリ・ミッドサマー・ヘレディタリー・ゲットアウト
この辺りの映画が好きな人も嫌いな人もイライラしそうな作品。
奇妙なコミュニティとそこへの同化・反発を恐怖の基調として、とにかく多種・大量のパニックを雑にぶっこみ続ける。
「独特の世界観を共有する奇妙な人間(たち)」を描いて映画を成立させる場合、平々凡々な日常を丁寧に描写するからこそ、狂気がより強調されると思うのです。
一見普通の人々だが、どこかおかしい。それこそが怖い。魅力的。
ただこの映画は、丁寧に描かなければならない部分を全てすっ飛ばします。その上で、半ばオムニバス的にすら感じられるほど繋がりのない恐怖演出が盛り込まれ過ぎており、登場人物の行動や心情変化の理由が判然としない展開が続きます。
まるでインフルエンザの時に見る夢です。あまりに乱雑です。
登場人物もロクでもないのが揃っており、Jホラーとは相性の悪い勧善懲悪感もある。もっと理不尽に、何の悪性もない奴を巻き込んだ方が怖い。人間のクズさが怪奇的な恐怖を食ってしまっているのもイマイチ。心霊とヒトコワが喧嘩して味がはっきりしない。
奇妙や恐怖がウワーッと押し寄せる、それ自体は良いと思いますが、それぞれの繋がりがないため、独立したB級映画を並べられても…といった気持ちに。冒頭に挙げた映画達は、テーマが物語の軸としてしっかりと一本通っているからこそ「押し寄せる」様子に凄味が出るのだが、本作にはそれがない。来るにしても、それこそ『来る』くらい来て欲しかったし。
高尚で複雑、考察させたがりの皮を被っているが、結局は中高生向けのお気楽ホラー映画といった風に見えてしまいました。
ポスターを見て、ある団地に不穏な部屋があり、周りの住民達をじわじわと巻き込んでいくジットリ系Jホラー来たか!と勝手に思い込んでいた私、撃沈。
デザインはイケてるのにな。超残念。残穢みたいにしてくれよ~!!