"あんたもいつかこうなる…ビッチ…"
1979年、テキサス…3組のカップルが映画の撮影の為、片田舎の農場にやって来る…皆、若く野心家で"農場の娘たち"と題した映画で"一発当ててやろう"と考えていた…そう、彼らが撮影するのは"X指定"のポルノ…
農場の主人ハワードは、よそ者を極端に嫌う典型的な田舎者でみすぼらしい老人…到着した6人に悪徳を吐きながらも離れを案内する…その時、マキシーンは母屋からこちらをジッと見つめる老婆の姿に気づく…
それは、かつての私にもあったモノ…老婆パールの目には全てが眩しく映る…
激しく悶えるマキシーンの撮影中の姿を覗き見たパールは…
舞台は70年代、テキサス、ザラついたフィルム感、ミイラみたいな老夫婦、エロとグロが交差するその景色は、明らかに"トビー・フーパー"…
海外でかなりの高評価で迎えられたA24製作のスラッシャー映画ですので、観ないという選択肢はありません。
ベースは"悪魔のいけにえ"そして、ブチギレのジジババ+ワニというところでは、"悪魔の沼"をベースに、そこかしこに過去のホラー映画のオマージュが散りばめられていまして、マニアにはたまらない画作りの力作だと思います。
また、"A24"ですから、そー単純な作りではありません。
ある意味でポルノ映画の全盛期とも言える70年代の雰囲気を前半でたっぷり見せつけた後、マキシーンとパールをまるで"合わせ鏡"のように対比させる構成は、一見の価値有りです。
グロ描写は、"哭悲"を鑑賞したばかりであることもあり、それ程エグいと感じなかったのですが、ヨタヨタと歩くジジババの"不意打ち"の連射にはやられてしまいます。
テンポがやや悪い事もあり、前半のポルノパートでのセリフ一つ一つを楽しめるかどうかで、本作の評価は変わってくるかもしれません。
私は、ポール・トーマス・アンダーソンの"ブギーナイツ"のような雰囲気があって、楽しめましたし、好きでした。
さて、本編終了後には、次回作"Perl"の特報がおまけ的に流れてきました。
どうやら、時代が遡り、今作の肝となる老婆パールの若かりし頃を描くみたいです。
更に、三作目も続くそうで、細か〜い伏線が沢山見受けられ、回収されていないので、二作目三作目と鑑賞する事で、初めて本作の評価が確定するのではないかと…
私の中では、マキシーンとパールの秘密をエンドクレジットで知り、ある意味衝撃を受けております…何故、このキャスティングになったのか、そして、何故この時代なのか(一作目は1970年代、二作目は1910年代なので、三作目は現代?〜ということは、パールの予言は、現代のマキシーンに当たるってこと?)も含めて、その答えは次作そして三作目で見えて来るのではないかと楽しみにしております…