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X エックスのyahのネタバレレビュー・内容・結末

X エックス(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

この映画はセンセーショナルなホラーでも、スタイリッシュなスプラッターでもない。

本編最後のセリフ通り、意図して製作された「クソホラー映画」なのだ。


『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』を送り出した新鋭ホラー制作会社A24の最新作、という触れ込みだけで映画オタクは興味を持つであろう今作。

新作『Xエックス』での挑戦は「大定番スラッシャー」「グラインドハウス」の皮を被った「どんでん返しホラーシリーズ」だ。
実は今作、公開前から「3部作」化が発表されている。ヒットするしないにも関わらず3本作りますと言い切り、遅れて公開された日本ではエンドロール後に2作目の特報まで観せてくれる。その気合の入り用は格別だ。


性に開放的な若者が旅先で惨殺されるというテンプレな展開を軸に「ポルノ映画」「NTR」の不快でクソくだらない展開で観客が飽き始めた頃、待ってましたと言わんばかりの虐殺が始まる。

そうそう、主演ミア・ゴスだが、彼女自身が初期作品から胸や性器をスクリーンに映す半ポルノ女優のようなキャリアを築いている。彼女が脱ぎたくて脱いでいるのか、それともマキシーンのようにドラッグでもやらないとやっていけないのか、役者の本心など知りようがないが。


殺人老夫婦の動機も不快でクソくだらないが、セックスレスに悩む姿は観客の現実ともリンクする。抑えきれない肉欲を顕にする老婆は生理的に不快だが、そんなクソホラー映画を観ている私たち自身の未来でもあり、やりきれない不安を抱くのだ。



そしてなにより、今作最大の“カラクリ”は主人公と対になる殺人老婆もミア・ゴス自身が演じている1人2役構造だ。

特殊メイク老婆の違和感が目立たないよう、終始遠景や暗闇でしか登場しない老婆。中盤から照明がクッキリ当たるカットや顔がアップになるシーンが増え、多少違和感ある肌のテクスチャーや特徴的な骨格で「え、これミア・ゴスじゃん!?!?」と衝撃を受ける。(パンフレットを読むまで気が付かない、むしろ鑑賞後も理解していない観客すら少なくないらしい)


日本公開版では終映後に続編の特報が流れるため、より1人2役が強調されたエンディングを迎える。正直、日本版は本国公開時より体験価値が高い2時間といえるだろう。宣伝会社、配給会社の粋な計らいだ。


A24が挑む新たなスタイルのホラー三部作、その完結がいつになるかは知らないが、必ず映画館で見届けたい。
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