TaiRa

X エックスのTaiRaのレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
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70年代ホラーへのオマージュを中心に置かなかったのが良かった。

田舎の農場へポルノ映画撮りに行ったら家主が殺人鬼でした、という話だが、そこから受ける印象とは違うとこへ連れて行かれる。表面的にはトビー・フーパー作品の模倣だけど、力の入れどころが明確に違うからどんどん変な境地に。変とは言いつつ、普遍性のある切実な話にもなってる。老いと若さの残酷な対比をちゃんとやってて軸が分かりやすい。殺人鬼側の人生をこそ重点的に描くので、スラッシャー映画的な軽さと距離を置く。どちらかと言えば劇中言及される『サイコ』のそれに近い。先祖返りでもある。対比の強調と前日譚の事も踏まえてミア・ゴスに二役を演らせる構造。この後に前日譚観るのって結構切なくなりそう。運命知っちゃってるし。ホラーとして新鮮味があったかは微妙。恐怖描写はどれも淡白。ワニ初登場時のサスペンスとか流石だし、めっちゃ気不味い状況下からの脱出なんかは面白かった。どっちも真俯瞰ショットが効果的。編集の遊びもメタ的で、映画についての映画という表明になってる。「若さ」を永遠に記録するメディアとしての映画っていう。
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