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X エックスのkuuのレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
3.8
『X エックス』
原題 X.
映倫区分 R15+.
製作年 2022年。上映時間 105分。
史上最高齢の殺人鬼夫婦が住む屋敷に足を踏み入れてしまった3組のカップルの運命を描いたホラー。
出演はリメイク版『サスペリア』のミア・ゴス、『ザ・ベビーシッター キラークイーン』のジェナ・オルテガ、『ピッチ・パーフェクト』シリーズのブリタニー・スノウ。
『サクラメント 死の楽園』のタイ・ウェストが監督・脚本を手がけた。

1979年、テキサス。
女優マキシーンとマネージャーのウェイン、ブロンド女優のボビー・リンと俳優ジャクソン、自主映画監督の学生RJとその恋人で録音担当のロレインら6人の男女は、新作映画『農場の娘たち』を撮影するために借りた農場を訪れる。
6人を迎え入れたみすぼらしい身なりの老人ハワードは、宿泊場所となる納屋へ彼らを案内する。
マキシーンは、母家の窓ガラスからこちらをじっと見つめる老婆と目が合ってしまい。。。

往年のスラッシャー作品にオマージュを捧げるのは目新しいことではない。
タイ・ウェスト監督の新作『X』は、それを新鮮に感じさせてくれました。
このジャンルのセックスの部分に注目し、セックスの意味を探求することによって、今作品は完成してる。
結局のとこ、今作品は、ポルノを作ろうとする人々の一団を描いている。
しかし、セックスちゅう切り口は、単なる安っぽい刺激にとどまらない。
それは映画の核心であり、ウェスト監督は、それが愛のためであれ、青春を取り戻すための方法であれ、あるいはまだその行為を経験できるうちに人生を最大限に楽しむためであれ、その経験が何を意味するかに最も興味を持っているよう。
しかし、その先にあるのは、楽しい、古典的なスタイルのスラッシャーであり、刺激的な部分とスラッシャーの騒がしさが同居する作品です。
ヌードやセックスの多さ、そして題材そのものに嫌悪感を抱く人もいるかもしれないが、スラッシャーファンにとっては、このジャンルの初期の時代の多くを思い起こさせると思います。 
今作品が『悪魔のいけにえ』から多大な影響を受けていることはよく知られていますが、その理由は簡単に理解できる。
作品の大部分は、テキサス州の人里離れた場所にある古い農場という特異な場所を中心に展開し、スラッシャーの楽しさを十分に味わうことができるし、タイ・ウェスト監督は赤いものも手を抜かない。
奇想天外な創造性は正直ないものの、残酷な殺戮が繰り広げられ、しばしば血みどろの結果になります。
登場人物のキャラが比較的良く描けてて、好感が持てるのも救いかな。
彼らが作ろうとしているのは胡散臭い題材やけど、彼ら自身に浅ましさやいかがわしさは個人的には感じられない。
彼らは自分たちの作品と、それを作る理由を信じている。
ただ、もう少し深く掘り下げてもよかったかもしれないが、彼らには明らかに歴史があり、ほのめかされていることがあっても、あまり発展しない。
悪役に関しては、予告編から想像されるような突飛でミステリアスな存在ではなかった。
実際、彼らはかなり地味やけど、不気味であることに変わりはなく、暴力が始まると緊張感は一貫して保たれてました。
今作品の内容を知っていれば、何を期待すればいいのかがよくわかるとは思います。
今作品はいくつかの変わった展開があるけど、それがこの映画自体の完成度を高めていると思います。
スラッシャーちゅうジャンルに新鮮さを与え、このジャンルが必要としているものであることは間違いない。

タイトル『X』について徒然に。
ここからネタバレに抵触しますので、お読みの際は呉呉もご注意ください。

余談ながらタイトルの『X』
全くもって関係ありませんがタイトルの『X』と聞くと連想してまう曲がある。

埋もれた時に戸惑う
おまえは悪夢をさまよう
血の気震わすNoiseでおまえの心壊してやる
X感じてみろ
X叫んでみろ
X全て脱ぎ捨てろ
X感じてみろ
X叫んでみろ
X 心燃やせ
      X JAPANの『X』(より抜粋)
今作品のタイトル考察も連想、空想、妄想の領域を働かしての事ですので、愚鈍な者の考え故に『ホンマでっか』くらいで読んでください。
横路にそれましたが今作品のタイトル『X』。
作中に多くを語られてはいないが、マキシーンは厳格な家庭で育ち回りからの抑圧されて育ったと推測できます。
その抑圧される、マキシーンの心の超自我("Super-Ego"親のしつけや社会のルールを心のなかに取り入れて形成された、道徳的な良心のこと。親が子にするように、超自我は自我を監視して制御する)に対して、自我("Ego"エスが生む原始的衝動に現実的な思考をはさみ、実際の行動とのバランスをとる領域)が解放つまり自由を求めた結果、エス("Es"
幼児期から抑圧されてきたものが蓄積されている領域。無意識的で、欲望や原始的な衝動のもととなる。快を求め、不快を避ける『快感原則』が支配する)とのバランスのトリレンマ(三つの葛藤)がうまれポルノスターからハリウッドを目指すと云う心に云いきかせ、ドラッグに溺れてしまった女子と深読みできる。
そのマキシーンとパールは同一人物のミア・ゴスが演じてます。
そこで、もっと妄想、空想をはたらかせたら、おそらく本質は。
不変の若さと美貌を保つものはない。
老いは人類の自然的なもの。
パールはマキシーンに憧れに似たものをもつが、彼女に成り代わることなど出来ない。
現代においては、アンチエイジングと云っても老若き肉体を老いたものが手に入れることは、土台不可能。
今作品のラスト場面で、マキシーンは『2人の秘密ね』といい、『お前だっていつか私のようになる』と罵る。
そして、マキシーンは、パールを轢き殺し、農場を後にしますが、これはマクシーンがパールに近づいた(老い)ことを指し示している。
パールは逝った。
マクシーンもいずれ、あがなったとてもパールのように老い、そして逝く。
美への執着を持ったまま老いていくマキシーンもまた、生から死へのサイクルからは逃れられない。
その若きと老いの交わるところクロス(X)を表現するためにラストの場面を描き、同一人物のキャストにしたのではないかと思います。
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