このレビューはネタバレを含みます
一見非力で人畜無害そうで、体の自由もきかないような人が豹変する、日常が反転する恐ろしさよ…
怖い上に思いもかけないエグいシーンがもろもろアルヨ…。
老いる、ということも、ある意味恐怖ではあるけれど。
若さ美しさ体力気力、体の自由、そして残された時間が奪われていく恐怖もさることながら、それでも性欲はあるままならなさ…失ったものを見せつけてくる人へ向ける狂気、あれは嫉妬もあるけど発散できない性欲支配欲のはけ口だったのかも。あれは快楽殺人の一種だよね…。
土地が広い国の田舎怖いわ…人里離れた、がほんとに絶海の孤島の如く周りに民家がないんだもの。田舎に行って襲われても誰にも知られることなく隠蔽出来そうって思わせるとこがヤバい。
撮影班のみんな、それぞれ問題有りそうだし性的規範ユルユルな人たちばっかりではあるけど、みんな基本そこそこ親切で陽気で気のいい人たちだったのに…あんなことになって…。
皆、女の子や老夫婦に親切にしようとしたら…急展開、ってパターンだったんで思いの外後味が悪い（ホラーとしては大変正しい姿勢ですが）。
特に金髪のおねえさんは老婦人にあんな酷いこと言われても言い返し方に気遣いあったし、明らかに自分の方が強いのに暴力に訴えたりしなかったし…だからあんなことになっちゃった訳ですが。性的な規範や倫理観はユルユルで怪しいのに、暴力に対する倫理観はしっかりしてるのが仇になったのが気の毒で。
老夫婦が老いてもお互いへの情とか性欲に振り回されながら時代的に二次大戦にベトナム戦争を経てままならなかった過去と人生に後悔と怒りで一杯なのに、相手のことはお互いに大事にしてるっていうのがね…。
老いても性欲が完全に無くならないのは分かるけども、そしてそれを否定する気は一切無いのだけれども、秘事は秘めとくのが花だなと思ったよね…。禁忌を暴くのがホラー、それは分かるけども、そこは秘めといて欲しかったよね…。
あの牧場に訪れた人立ち寄った人、みーんな老夫婦が抱え込んでた怒りと狂気に任せて手に掛けてたようですが、そんな凄惨なやらかしの背景にずっと思い通りに生きられなかった人生の物悲しさが漂う。
他の人のレビューでパール（老婦人）とマキシーン（ポルノ女優）が二役と知りまして…
老いに直面する場面は、誰もが来た道、通る道…っていう皮肉が効いてますね。
あのテレビの中の誰か洗脳しようとしてる狂信者みたいな人が実は、なとこもなかなか…
