なんとも切実な気持ちになってしまった笑
心を置いて身体だけが老いていくことに、まだまだ恐怖を感じる。
本作は、西洋文化を中心に生まれた、性に対する欲求と恥じらいという二重規範を、ホラーという形で仕立てた作品だと思った。
「淫らで」「風紀を乱す行為」は悪の道であると繰り返すキリスト教の説教は、性への強烈な欲望の裏返しなのではと思ってしまう。
男性はいつまでも衰えぬ雄々しさを、女性は貞淑を求められ続けてきたことと、生物が持つ衝動との間に生じる歪みが、悲劇を生むという構造が本作の巧みな点だった。
ホラーとしてはほとんど怖さを感じなかったが、その散りばめられたメタファーが興味深かった。
本当に何の前情報もなく観始めたので、初めは『悪魔のいけにえ』の模倣をした80年代の映画だと本気で思っていた。
演出や絵作り、キャスティングまで見事な擬態だった。
