トゥーン

X エックスのトゥーンのネタバレレビュー・内容・結末

X エックス(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

純粋無垢な処女が生き残る時代は終わった。
キリスト教に基づき、セックスをした者は真っ先に死ぬというホラー映画の定石を否定する。いくつになっても、セックスはしたい。
女性は性に対して奥手である主張に否を唱える。RJの処女(?)信仰は叶わず、ロレインは自らキリスト教に反してセックスをする。
セックスが若者の特権ではなく、パールもまたセックスを望む。それは若さの象徴としても扱われ、いまだ人生に納得がいっていないがゆえの最後の砦である。自分はまだ特別であり、セックスシンボルになりうる存在なのだと。
1970年代の性への抑圧は現代でもまだまだ健在である。ようやく女性用風俗が一般化しだしたが、まだ女性の性の解放はポジティブな状況ではない。
そうした性への否定的イメージを植え付けたキリスト教、そして父親に対して、薬物を吸って、クソな神をたたえよ、と。マキシーンが助かったのは神の恩恵なのか、それとも。ここらへんの掘り下げを続編でやってほしい。
本作は老いの恐怖というよりは、若さを失うことの恐怖がテーマである。こうした若くなくなることで表面的な美が消え去り、醜くなることへの嫌悪感は現代にまん延するルッキズムにも繋がっている。A24らしく、ホラー映画としてはなんちゃってだけど、メッセージ性や芸術性がなんちゃってA24ホラー映画よりも面白かった。
まぁ、この映画はどんなに語ろうとも、"クソッタレなホラー映画"に決まってるんだけど。
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