andes

X エックスのandesのレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
3.5
一見過激に見えて、意外と全方位的に気をつかった親切設計型のホラー&スリラー。丁寧に「フリ⇒オチ」をするため想定外の要素は少ない。飽きないが、残念ながら想像を上回る面白さはない。
「悪魔のいけにえ」型の映画で、観ていて様々な過去作が頭に浮かぶし、類型的なキャラクターは“ワザと”であろう。良くも悪くもタランティーノ以降のサンプリング感覚。もちろん、ベタな展開のまま進む気持ちよさもある。設定やシークエンスなど、単品では上手いところもある(老人を曖昧に映すのは良い)。
ただ、ホラー的な「スカシ」までも紋切り型なので、驚きはない。「どーせ、ここでは死なないんだろ」という通りに進む。ちなみに「ババアがマクシーンにやたら思い入れがあるな。もしかしたらミア・ゴスの二役なんじゃ」と思ったらその通りだった。想定を超えない…。
退屈はしないように「興味の持続」には成功しているが、あまりにもすぐにキャラクターが死ぬので、思ったより「追い詰められる恐怖」がない。なんか、どうあがいても絶望、みたいな怖さがないのは減点である。全部が中途半端なのも良くない。殺人鬼ジジババが微妙にコミュニケーションがとれるので不気味さが半減しているし、キャラは立ってるのに活かされないまま退場する登場人物はもったいない。
とはいえ、である。ミア・ゴスはじめヒロイン3人はそれぞれ魅力的である、映画の出来を底上げしている。それだけでも良い、という気にさせられたので、映画の勝ちかもしれない。あと、音楽もベタに70sを使っているだが、この手の映画では珍しく、ブルー・オイスター・カルトを聴いた。監督の趣味だろうか。
andes

andes