何者にもなれない成れの果てになることへの恐怖。
何者なもなれなかった自分との戦い。主人公と殺人老婆を演じるのが同じ女優さん。女優として大成しなかった老婆は、未来ある主人公の若さを嫉妬というか、崇拝する勢いで執着してくる。終盤で、「お前も私のようになるんだ」と言ってきたときに、これは主人公にとっての「何者にもなれなかった未来の自分」との戦いなんだなと分かった。主人公も、自主制作のポルノ映画に出ているだけで終わるんじゃないかという不安があり、そこを突いてくる老婆。だから主人公は、とにかく「そんなことねぇわ!」と老婆をぶっとばさなければいけない。
でも、基本的にはただ老人が若者を殺すだけの映画だった。老婆は主人公に対してだけテーマめいたものが見えるけど、撮影クルーの男たちを殺すときには、ただ人を殺したいだけのババアだった。全体としては、エロと殺しだけな印象ではあった。