カレーをたべるしばいぬ

きさらぎ駅のカレーをたべるしばいぬのネタバレレビュー・内容・結末

きさらぎ駅(2022年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます


地味にずっと観たかった1本。

2004年に2ちゃんねるに投稿された実況系の怪異譚が元ネタ。

元々の書き込みが実況形式であり、異界に迷い込んだ"はすみ"こと主人公と、掲示板の住人達とのやり取りで進行する。その性質上、体験談として完成した読み物(リゾートバイト)や、断片的な情報の集まり(鮫島事件)といった同郷の作品よりも更に映像化しにくいテーマという印象。

◾️まぁこうするしかないか感
佐藤江梨子演じる"はすみ"が体験談として語った異界を、恒松祐里演じる本作の主人公が追体験する。同一事象に対する異なる視点からの異なるアプローチが観られるという美味しいシチュエーション。今作でも、多少だが面白さを上げることに寄与している。

■偶然迷い込む世界へ主人公をどう誘うか
映画として物語を成立させるために、到達困難な異世界へ主人公が侵入できる口実が必要だが、ここで異界エレベーター理論を持ち出したのは良いアイデアだと思った。同理論はネットのホラーに詳しい人なら知っているし、知らない人にも取っ付きやすい仕組みだ。

■事象自体は
概ね原作通り。ただし元々は単身で迷い込む話のため、展開は異なる場面が多い。

■コメディ化
原作のもつ「読者が勝手に様相を想像する」ことによる怖さを表現することは困難であるためか、悪露的な演出を前面に押し出して笑えるホラーになっている。目も当てられないような安い台詞も目白押し。
ただ視聴が厳しくなるほどの羞恥を生むギャグ等はなく、割とマシな方。

■恒松祐里の好演
本作が映画初主演とのことだが、気が強く人間的な主人公の表現がとても上手い。

◾️総評
B級。所謂Jホラー的演出は皆無。このような書き込み系の体験談を本格派ホラーにするにはどうすれば良いかと思案する楽しさは感じた。
リーマン役の人はTHIS MANできると思う。