Hideko

プレイリストのHidekoのレビュー・感想・評価

プレイリスト(2021年製作の映画)
4.5
原題: Playlist

2022年 MyFFF出品作品。

《ストーリー》(MyFFF 公式サイトより)
デザイナー志望だけれどデザインスクールに通ったことのない28才のソフィーは、真実の愛に出会える日を心待ちにしている。恋にも仕事にも積極的なソフィーは傷つくことも多いけれど、怖れてはいない。ダニエル・ジョンストンの名曲「TRUE LOVE WILL FIND YOU IN THE END(最後には愛が君を見つけだす)」が、真実の愛を待つソフィの背中を押す。注目の女性BD作家ニーヌ・アンティコが、自由に今を生きる2人の女性の日々を描いたヌーヴェルヴァーグへのオマージュ的作品。サラ・フォレスティエとレティシア・ドッシュの最強コンビが、おかしくもほろ苦い現代女性の姿をテンポよく好演。

※BDとは…(デジタル大辞泉より)
《〈フランス〉bande dessinée》「バンドデシネ」の略称。ベーデー。
1 《「描かれた帯」の意》フランス語圏で広く読まれる、芸術性の高いストーリー漫画。略称のBDから、ベデまたはベーデーともいう。
2 ファッションで、漫画や劇画のコマをそのままはめ込んだような全面の柄をいう。コミックプリント。


レビューを読まずに鑑賞し始めて、すぐ『フランシス・ハ』に似ているようだ、と気付きました。後で皆さんのレビューを読んで、やはり…と。

それほど若くもない、かと言って諦めるほど年配でもない女性が仕事、恋愛、生活、人生全てに疲れて、苦労して…というところはよく似ていて、本作の監督も『フランシス・ハ』からインスパイアされたところが大きいのかな?とは思います。しかしそこは両作、似て非なるもので、本作を観てしまった自分は本作に大きく軍配が上がったと思っています。

『フランシス・ハ』も良作なのですが、何か自分とはかけ離れたものを主人公に感じてしまい、今ひとつ共鳴できないという感覚が拭いきれないでいました。もがく女性のオシャレムービーと言った感じで。音楽もデヴィッド・ボウイの「Modern Love」が効果的に使われていて、疾走感があるところはワクワクしますしステキだと思うのですが…。

それに対して本作の主人公のソフィーは、とにかく自分に近い(笑)!彼女はあまりにも運がなく自分のことのようにシンパシーを覚えました。劇中ではそれほど流れることがなかったですが、ダニエル・ジョンストンの「TRUE LOVE WILL FIND YOU IN THE END」全曲通して聴くと素晴らしいですし、その歌詞が泣けてくるほど優しいのです。「キミが光の中に飛び出さない限り、真実の愛もキミを見つけてくれない。でも心配しないで、大丈夫。最後には愛はキミを見つけてくれるから…。」

ダニエル・ジョンストンという人、本作の鑑賞をキッカケに初めて知りました。彼は天才で多くのミュージシャンに影響を与えた(その中には偶然なのか、必然なのか、デヴィッド・ボウイも入っているようです)ソングライターであり、メンタルヘルスの問題も抱えていた、と。

本作のソフィーに対する視線もこの上なく優しいですね。出来得ることならば、彼の「TRUE LOVE WILL FIND YOU IN THE END」をフルコーラスでエンディングに流して、その歌詞の和訳を字幕で見せて欲しかったですね。今から歌詞を見ながら、この曲を聴きたいと思います。

2022年MyFFF の短編2作『愛の痛み』と『みにくいアヒルの子』に登場するAndranic Manet(オンドラニック・マネ)が本作にも。若き日のアラン・ドロンによく似てる。彼のファンの方、お楽しみに〜💕
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