同じ時代を生きたことがないからか、
オードリー・ヘプバーンという人は
可憐である、という印象しか持っていなかった。
また、こう思っていた。
なぜこの特段節目でもないように思われるタイミングでドキュメンタリーを作るのだろうと。
壮絶な100分間を経て、
自ら道を切り拓いて歩いていく聡明さと、
いつ何時でも人を尊重するあたたかさを知った。
試写会後のトークショーでお話されていたのは、
彼女に「双子みたいね」と言われるほどオードリーと親しかった加藤タキさん。
「彼女が生きていたら、今の世界情勢を見てどう思い、どうしていたかしら」というようなことを仰っていた。
オードリーはこの映画を通して、今なお世界の子供たちを救っているように思う。
生前、彼女が悲惨な生活を強いられる子供たちについてテレビで語るたび、親善大使を務めていたユニセフに、驚くほど巨額の寄付が寄せられたという。
培った名声と影響力を世界中の子供たちのために使えたことは、
「このために女優をやってきた気がする」とオードリーに言わしめるほどの喜びだった。(加藤さん談)
この作品には、
寄付で、或いはほかの形で、
何か子供達のためにできることはないか
という気持ちを強くさせる要素がある。
少なくともこの作品が観られる限り、
オードリーの想いは生き続けるのだろう。